016.X XS_Lost_Batu_Shadks





 チッイ───

 デアブロウは大きく後ろへと飛翔しニュクスの触手の一撃を避けると、
着地するや否や追撃に迫る触手を右手の刀を水を打つ勢いでなぎ払い、自らは払った刀と反対方向に跳ねて、両断されて落下する触手を避ける。
その、デアブロウのコクピットの中でエクスは、長く大きな舌打ちを鳴らした後、
獣のような唸り声を臓腑から搾り出し、続けてかッと目を見開くと、虚空を睨んで、
すぐに視線を正面に戻すとマスクの内の唇を歪め、ギイと牙をむき出して確かに笑った。

 「ノーブル・アーマー。あれなる騎士は、女王の使いか。
俺が、あわよくば浮世で戦おうと欲を掻いたのは確かだ。
だが、クィーンとてそうはさせじと手は打つだろう。
女王に嗅ぎ付けられたのは、ひとえに俺の甘さ故の不始末」

 笑うエクスの面は表情とは裏腹に血の気を失い、蒼白となっている。
しかし、猛禽のその目は。
空を翔る肉食の誇り高い眼は、いっそう激しく炎を燃やしていた。

 「しかし、この現実は、痛みは!奴らは浮世にいて勝てる相手ではなかったという事を教える!
なれば、最期の武器まで捨て去らねば、勝てる道理は、あるまいな!」

 金斧騎士シャックスと、ザノンの通信を瞬時に抑えていたエクスは、その事態に仰天し、
また、この事態が意味するもう一つの意味を了解し、その、己が身の上に訪れる未来への覚悟を決めた。

防護服の上、首から提げた、麻紐に通した小さな三つの飾り石を右手の人差し指で弾くと
エクスはニュクスの攻撃の圏内に居ると言う目の前の現実にも対応すべく、デアブロウに地を蹴らせ前に飛翔させる。

 「シヲンを失い、シ・ヲン陛下を奪われた無惨、返上をする──が、為に!」

 全て失え、と、かつて彼に道を説いた老人・リクトーの言葉がエクスの脳裏をよぎる。

 ──失ったものは、失った分神に近づく。全てを失ったものは世界と一つになる。
交差の疵もつもの、エクス。
己はグーヴァイン市で人でいるための欠片を失った。
残りの、こびりついた欠片も、
捨てろ。失え。
それが己の世界への──己が失った世界へ至る、最も近い方法だ。
さすれば、己の墓標は刻まれる。人の世のある限り、忘れられることなく。 だからこそ、痛みは伴う。
死を望む声を誰しもが上げる、その痛みを超えた時、
生まれ現れる自分の名を産み落とす苦しみであるが故に。 痛みを記憶する事。痛みを思考する事。それは何にも勝る力である──

 「我が腸を捧ぐ故、我が内に来たれ、フギン!そしてムニン!たどるべきなのは─…
我が眼前の運命の轍、リクトー殿!どうやら、腹は、決まったッ!」





 ニュクスタイプのルサンチマンは、ある距離から相当危険な対空能力を有していると評価されている。

 その無数の触手を振るう円柱状の胴体の構造によって、上方への迎撃に能力を発揮するつくりであることからだ。

 故に、ニュクスタイプに対して、
上方からの攻撃を考えるなら魔導鎧の取れる理想的な攻撃方法というのは、一つには、敵の反応速度を超える、
射撃武器による攻撃であるが
これには条件があり、相手に有効なダメージを与えうる高攻撃力の攻撃でなければ、著しく能率が悪い。

そして、その高い火力を実現するには、実弾を用いた火砲であれば重量を求められ、攻撃魔法で有るならば、
唯でさえエネルギーを飛行することに割いている
空戦用魔装鎧のジェネレーターから、膨大な出力を攻撃の為の出力に回さないとならなくなり、同じく重量を求められる。
なれば、ジェネレーターも、コンバーターも大型化するのは避けられない。

だが、飛行するなら総量に置いては軽量化を施さねばならない。
しかし、重量が軽ければそれだけ戦闘の為の能力の大部分は見切りをつけねばならない。
空戦を主とする魔装鎧はこの問題をどれだけバランスよくクリアできるかが肝要である。

しかし…グングニルは、それまでの機体を比較対象とするならば、
全てにおいて群を抜いた、まさに次世代機と呼ぶに相応しい性能を持つ新型機である。

 「上方から、接近戦を仕掛ける」

 ザノンは、先ほど上空からニュクスと対峙した時に見た、
網の目の様に触手が張り巡らされた光景を思い出し、シャックスの言葉にぎょっとなって思わず、コクピットの中からグングニルの方に顔を向ける。

 「味方の支援を確認してから、攻撃を仕掛けないのですか?、フルコンディションのニュクスの攻撃に今、無闇に特攻しては…」

 ザノンが制止するのを予見していたのか、すぐさまシャックスからは冷笑が返ってきた。
グングニルは、ザノンの言葉を聴いてもござんなれと言った態で構えた長大な槍を軽くなぎ払って見せる。
コクピットの中で広い肩をごきごきと回して、
シャックスは良う候とばかりにバシッと左右の光を発するコントロールパネルに掌を叩きつけて、ぐいと身を乗り出す。

 「この私が、禁騎士団から単独で戦場に派遣されたのはどういう事か、考えて見給え。
グングニルは、次世代の魁だ。まぁ、ご覧じろ」

 シャックスは、威容溢れるグングニルの機体を軽く揺すり、
左手を上げさせて、声を掛けたザノンに合図を送ってから、巨大な円錐状の騎槍を正面に構え直し、空中で機体をぐるりと下へ向け
真下のニュクスタイプを睨みすえる。

 「負け犬はよォ…──、俺が食ってやるから、光栄に思えよ!俺の中で血肉となって共に生きられるんだからな!
─それは、千年を共に生きるということなんだぜ!ハハハハハ!」

 シャックスがその細い眼をかッと見開き、眦を裂いて大音声に叫ぶ。

その声は、彼の持つ暴力という資質への自負が満ち満ちた荒々しいものであると…ザノンには、その様に感じられた。

 「この人…!?この人は!」

 感覚の鋭敏になったザノンは、シャックスが漲らせている自信が、過信ではないと。
彼が言葉で言っている以上の暴力をその身に帯びていると肌で感じる。
その暴力の気配は、暴力の家系に生まれたはずであるザノンの魂をさえ畏怖させるに十分であった。

 血液と臓腑が重力に導かれて、身体の前面へと押し付けられるのを心地よく感じながら、シャックスは笑い続ける。
ぼうッ、と音を立ててグングニルの周囲の空気が歪んだのが、ザノンの目に認められた。

 状況を忘れて、その、幽玄に姿を揺らめかせる大気を纏う、優雅なグングニルの姿が醸す威容に、
ザノンは一瞬、状況も恐怖をも忘れて見ほれた。

 「つッ」

 ごくりとつばを飲んで、折れた肋骨の痛みがザノンを灼く時には、
もうシャックスはグングニルの背中のマルチフィンユニットを一斉に外側に展開して、真下のニュクスタイプへと急降下を掛けている。

 グングニルは、圧倒的なスピードでアイギスとの相対距離を作り出し、ザノンが瞬きするほどの間に、
グングニルが的にかけたニュクスタイプの触手の射程圏内に入り込んでいた。

 その加速、そのスピードにザノンははっと我に返り、自らの目を疑った。
今目の当たりにしたグングニルの加速はザノンが操ったアイギスのどの動きと比較しても、すぐに判るほどに鋭い。
シャックスの闘志そのものを全身に表したかの如し、
白い円錐とも見える槍を真下に向けて構えた巨体は、時間の流れすら異にする圧倒的な速度で、迫る触手の中央を知らん顔で突ッ切っていく。

 「急角度なんてものじゃない!殆ど垂直落下じゃないか!
重力がそのまま上乗せされて…あのスピードで機体が持つ!?
あの加速に耐えられるだけの強力な物理保護を兼ね備えているのか、グングニル!」

 「吾こそ、千年に名を残す騎士シャックス・ブローバであるッ!我が名において、放て、ドラウプニル!」

 加速に追従して、
短い髪の毛が逆立つシャックスの叫びに答えたグングニルが、その影を一つ、グングニルの通り過ぎた空間に置き去る。
グングニルと寸分たがわぬ魔装鎧が、
そこだけ時間を切り取ったように空中に固定された格好で動きを止めているのがザノンの目からも認められた。

グングニル本体は、その、残された機体の幻影を振り向きもせずに
ニュクスの核に向かって一直線に降下を掛けている。

 グングニルの持つ能力かとザノンは思わず仰け反った後、自分もシャックスに続いてアイギスを急降下させる。

迎撃をしようと飛んできたニュクスの触手の一つが、
重力と加速と慣性によって、一撃を避け切れないグングニル本体を打った、と
ザノンの目には見えたが…

触手に打たれて吹き飛ばされたはずのグングニルの姿は一瞬にして掻き消え、
動きを止めて空中に居座っていたグングニルの影が
ほんの僅かにスピードを落としてからマルチフィンユニットで旋回を助け、迅速に旋回して動き出す。

 メーテの火砲が、グングニルを捕らえた筈の触手を爆砕すると、
グングニルは自らを捕らえんと殺到した触手をいなすように避けてから、再びその場に自分の影を残し
舞い散る粉塵を突ッ切って、ニュクスの中心へと殺到する。

触手を圧倒的なスピードと軌道で、今度は掠りもさせずに掻い潜ると、グングニルは、
ニュクスの核に深々と騎槍を突き立てて、膝をつくような姿勢を見せた後、僅かに体を起こし…
その胎内のシャックスはヒャハハハと高笑い、チェックメイトを掛けるべく叫ぶ。

 「ソニック・シェイカァッ!」

 グングニルの槍から発するエネルギーの奔流と、
通常の構造体では耐えられない程の振動を零距離から核に浴びたニュクスはびくりとその巨躯を震わせてから
ビクビクと触手を痙攣させ、もがき苦しむ。

 「何も出来ないで死ぬまで苦しめってんだよォ!ハハハハハ─ッ!」

 次々に地上へとニュクスの巨大な触手は身を投げていく。
その轟音と、高らかに歌うシャックスの槍の音が、地の果てまでも鳴り響く。
ニュクスの核に走る亀裂は一つ増え、二つ増え、その亀裂から光が漏れ、その光がシャックスの姿を隠し、
やがて収まる。シャックスに核を貫かれた
ニュクスは、核を割れたガラス玉のように滅茶苦茶に引き裂かれ、グングニルが槍を引き抜くときにはもう、ピクリとも動かなくなっていた。

 グングニルが、圧倒的な暴力を遺憾なく発揮して作り出した光景
放射状に投げ出されたニュクスの触手の中央に、泰然と立つグングニルを見て。
──東西南北四方の民をたった一人で平定し、支配に至ったナイトガルド主神の伝説の再現とも思える光景──を
目の当たりにしてザノンは一つ身震いをする。

 「ほぼ、単独で造作もなくニュクスタイプを撃破する…。
アイギスは、僕が使っても何とか戦えたというものなのであって── 本来の能力を発揮したノーブル・アーマーの威力とは、此れ程なのか──?」

 「然り」

 グングニルはいつの間にか、アイギスの背後に回って、アイギスの背中に槍を突きつけていた。

彼が人間だと判っていても、やはりザノンは、彼に槍を突きつけられている事実、
動きを見せなかったその神機に一瞬、ルサンチマンと違った種類の恐怖を覚えた。

頭では攻撃をしてこないと判っていても、
それを超える威圧感をザノンの肌は感じ取り、戦慄する。

常に湧き続け、敵を求める闘志。
言葉にせずともそういったものがシャックスブローバからは
匂い立つほどに溢れていると感じ取れるほどに、アイギスの中のザノンの神経は過敏になっていた。

 「人間は試練に打ち勝ちたい。それも、出来るだけ傷つかずに勝ちたい。
だからこそ、試練との相対において、試練を圧倒する力を死に物狂いで求める。
誰だって相手に楽に勝ちたいし、戦うからには敗北をしたくない。
嫌な思いをせずに、こんな風にだ、相手を屈服させたいものなァ、学生君」

 不遜極まるシャックスの言葉、それに行いに、ザノンは言い知れぬ違和感を抱いた。
本能的なもの、無意識の収集した情報が、意識に向かって警告を発しているのだろうか。
何れにせよ、戯れで有ろうが背後から自分に槍を突きつけて、それを嬉々として言い放つシャックスの声色を聞き…
ザノンはシャックスがなにか危険なものを内包していると、そのように感じた。

 「屈服とか、圧倒などというものの言い方…シャックス卿、
言葉尻を捕らえるようですが、貴方は敵味方関係無く、
相手を屈服させたいという欲望のためだけに、戦っておられるのでしょうか?」

 ぐるりとアイギスを旋回させて、ザノンは、グングニルと対峙をさせるようにアイギスの構えを軽く作り、若干の距離を取る。

 「ハッハッハ!俺が気に入らないという奴は、俺は好きだぞ!
騎士にもなっていない者の言葉としては無礼であるが、答えてやろう!
勝てない騎士など、ゴミ同然よ。持ちえた暴力が無力な騎士がどうして人に畏れられるよ?
騎士は兎に角、戦って勝つから騎士であろう。だからこそ騎士は畏敬の対象であり…
騎士とは、生ける法典だ。我々こそ、人間の暴力を体現する者である!
我々の暴力が強固なものであればあるほど、秩序は硬いものとなる!」

 「強固な秩序、本当に貴方はそれだけを願って戦っているのですか?」

 「察しがいいな!そうは見えんとストレートに言ったらどうだ?
しかし、強大な敵を踏み砕き、不破の秩序を打ち立てて、
吾が名を人ノ間に千年の間伝わる武名となせば、吾、千年の命を得るのと同じ事である故に、と言えばどうだ。
千年、いや、それよりも長い伝説と言う名の命、それこそが吾が望みだ!」

 猛烈な闘志を垣間見せる言葉をシャックスは吐いて、グングニルが槍を引く。

 「僕は…」

 風が渦を巻く空高くで、シャックスはアイギスの背後に地上を見下ろし、ザノンはグングニルの背負った天空を見上げる。

 風の鳴る音が、やけに鋭く聞こえる。
音と共に訪れる、なにか言い知れぬ痛みが、ザノンの身体を引き裂くのではないか、ザノンは風の音を聞いてそんな恐れを抱く。

 恐れ。その感情はザノンに、続く言葉を飲み込ませた。
シャックス卿は、きっと嗤う。

 強大な力を見せ付けて、玉座に侍るがごとくその力を誇る男が、力だけを頼りとして、
人を超えると宣言する男が、どうして彼よりも力も表せぬ自分の心に耳を傾けようか。

ぎゅッと唇を結んで、飲み込んだ言葉の重さに耐えるように、ザノンは沈黙を返答とする。

   眼前のグングニルは、まるで空を統べる王で有るかのような威容さえ見せている。

 「ヒッヒ、何か言ったとしてもよお、くだらねエーンだよ」

 そのザノンの飲み込んだ言葉を覗くかの様に、シャックスの、騎士の仮面が嘲笑と共に剥がれる。
その声に顕れる嘲笑に立ち向かう材料を自分は──持っていない、とザノンは顔を伏せる。
肋骨で燃える痛みよりも根深い、切ない痛みがザノンの胸には去来して、彼の胸を引き裂く。

 ザノンは、非力だ。それ故、彼は、傍観者で有る事に甘んじ、妹を失い、今日もまた、隣人を数え切れないくらい失った。
そして、彼はその非力さを補う鎧を知った。強烈なセンスでそれを操っても見せた。しかし、それ以上に
シャックスの暴力が今現在、強力なのは疑う余地は無い。
過激な言動であろうと、シャックスの物言いは、ザノンと違って、結果を残せていると言う前提が、そうしてきた自負が有るのだ。

──ザノンの代わりに、シャックスが居たならば、何人死なずに済んだのだろうか。
己の胸から発した、その決定的な答えの出る恐ろしい疑問は、ザノンの心臓を剣となって貫いた。

 「弱い人間が吐いた言葉は呪われて、くだらない言霊に化生するのさ!」

 シャックスが威圧的な声色でザノンの傷口を広げる。

 「…学生の独りよがりなど聞いたって、
誰が得するものかよォ、騎士の卵の戯言なんかよ、
メソメソ泣きながら乙女の日記帳にでもつけておいたらいいと思うぜ!ボクちゃんよォ!」

 シャックスが嘲笑混じりに答えると、周囲全機に向けた、スレイプニルのクルーからの通信が二人の間に割って入る。

 「残りの大型を畳み込むぞ!前進、前進!中型はもはや殆ど浄滅されている!」

 余韻に浸るかのように、シャックスはクックと笑い、片手を振ってザノンに足元のニュクスを示す。

 「往くぞ、少年。能書きなんぞをたれる前に始末をつけるのが先決だ」

 ほんの少し高度を取ると、グングニルは身体を起こし、他のニュクスをぐるりと睥睨する。

 アイギスも身体を起こすと、グングニルを見上げ…

 「僕は…それだけの為に戦うなんて…嫌なんです」

 気がついたら、ザノンの息は、短く、浅い火の息になっていた。
情けない。
ザノンは、その思いから上を見上げて、琥珀の瞳を熱くなった瞼で押さえて栓をすると、
今しがた飲み込んだ言葉を、誰にも聞かれぬよう、口中に融かした。
いつか、胸を張ってその言葉を誇れるように。



 「突然出てきた魔装鎧、ノーブルでしかありえんよな、識別にない新型だが、妙な残像はMDM…か?」

 対地砲発射の凄まじい閃光と轟音の中で、メーテはエクスに問う。

 「違う、あれは通常装備だ。
あんなにクールタイムの短いMDMは存在し得ない。
コンバータの限界を超えてしまうエネルギー変換を必要とするのがMDMだからな。
計算上のエネルギー供給量じゃ、不可能って概念のものだ。
捻じ曲げられる物理現象だって限界はあるし…うらあッ!」



 前に打って出て、両手の柄物を鈍く光らせたデアブロウを横飛びに跳ねさせ、紙一重で触手を避けさせるとエクスは言葉を続ける。

 「コンバータに格納しているアスタリウムなんかの構造物を消耗し、
エネルギー化して供給している以上、エネルギーも無限ではない。
コンバータが死んでも、その魔装鎧はお仕舞いだ。
余談だが、MDM使用時に要求されるのはまともな変換量じゃ無理な要求量だ。
それ故、外部にどれだけあるか判らない、霊子変換可能な粒子を求めてコンバータが暴走し、
大気中に落ちてるなにからなにまで分捕って
エネルギーに変換できるもんをよりわけるもんだから、周囲の気温は急激に下がるってことがたまに起こる」

 ウヒョウとメーテが感嘆して心底嬉しそうにひっひっひと笑った。

 「薀蓄とは関係なさそうな、普通の装備って事だろうな。
ははッ、あの加速と一撃必殺の攻撃能力で空戦型、
おまけに手品の種まで尽きないと来るか?いくらかかってんだ、あいつは。まるっきり出鱈目の性能だ!
ナイトガルドはおっかねえな、
ルサンチマンとナイトガルドの人間、どっちが化け物だかわかりゃあしねえ!」

 「だったら、ルサンチマンの仲間入りでもするかい?」

 「ちょっと考えさせてくれヨ」

 興奮して笑い続けるメーテの言葉にエクスはフンと鼻を鳴らす。

 「─美意識か、そいつは大事だな、メーテ・マリシン」

 デアブロウの真上から襲い来る触手をいち早くフラ・ベルジャのエナジーボルトが空中で焼き切ると、
デアブロウは更に前に飛び、ルサンチマンを誘うように大きく脚を開いて踏ん張ると仁王立ちの姿勢となる。

 「こっちに来いよ、ニュクス!怨霊砲だってもっとこっちに寄らなければ、当たりゃあしないんだぜ!」