029.Shadow Run:9_Song_Of_Edge





 広場の魔法陣の内側に光の球が生じた。
カルマは身じろぎもせずに立ち尽くし、エクスは眩しそうに左眼を細め、モノは首を振って光の球に視線を走らせる。
幽玄な趣の有る光景であるが、光の球は徐々にその数を増やし、魔法陣の中央に立つ三人を囲み、飲み込み始める。
いつしか、集まり、一つになった無数の光の球は、
あたりを真昼の様に照らし上げ、
光の満ちる空間は閉じた一つの世界となり、音もなく魔法陣の上の光の柱となる。

 エクスとモノ、それにカルマ。

 広場の転移魔装は、その身の上の空間に配置された彼らを含む情報や、
塵芥に至るまでその存在の情報をを刻み、取り込み、消し去ると
エクスが指定した場所へと瞬時に…
第十禁騎士団の基地施設の広間に、彼らの存在を写し、吐き出し、顕現させる。

 「諸君」

 収束し、解けるように失せていく眩い光の中で
眼を閉じていたエクスの耳に、聞き覚えの有る男の声が飛び込んでくる。
その声に反応したエクスは、眼を見開いて顔を起し、その光景に展開された状況を眼に入れた。
次々に身を硬くして身構える一団は、
眼にした光景が異様なものであるのを瞬時に認める。
広間は、防護服の上に軽装甲冑を着込んだ禁騎士が十人ほども配備され、
広間に顕現したエクス達を包囲する陣形となっていた。

 刺客、メーテの口から聞いた事情が真実であるなら
有る程度転送先を限定、特定されて警察権のある憲兵か禁騎士に先回りされ包囲されている状況は当然。
しかし──今この場所に居る禁騎士達が包囲の構えを見せていたのは飽くまで立ち位置だけである。
黒い防具に身を包んだ禁騎士たちは、エクスたちの顕現に反応して構えを揺らめかせてはいたものの、
異様な事に半ばエクスたちに背を向けて立っていたのだ。

 「連中は一体何をしている?」

 モノが声に出してエクスに問う。
カルマが、無言で禁騎士たちの背中を指差す。
モノはその指の示した方向を視線で追い
禁騎士達が対峙するものの存在を把握して、あッと声を上げて眼を見開いた。

 自分達を包囲した禁騎士達の集団から距離を置いて、
それを倍以上上回る人数の禁騎士たちが盾と柄物を手に光らせて、
剣の林となし、彼らをぐるりと包囲していたのだ。

 「その声、シャックス・ブローバ」

 人の名前らしきものをエクスはぼそりと呟く。エッと声を上げたモノは、外周の騎士の包囲網の中から、
騎士が一人歩み出て、顔を隠す頭部保護具を外して床に投げ捨て、
脇に居る騎士の手から丸めた書状の束を受け取るのを眼に認めた。
短い金髪を揺らし、さらにもう一歩を踏み出して、令状らしき紙の束を掲げて開示してから
清聴願う、とその騎士
──シャックス・ブローバは大音声で自分達が取り囲んだ騎士達に呼びかける。

 「第十禁騎士団からの内部告発と証拠、証言をもとに第十禁騎士団団長、
紋階級騎士ボリス・ジーニアスと、直轄の部下である
団長派の騎士達に、
重犯罪者クロウス・アーメイの脱走を幇助する謀の容疑有りとする逮捕状が
本日個別に発行された。

この逮捕状は
法務庁王都禁殿警察部が即時対応できない為に
法騎士シツダ・ルタの特殊代行権限で逮捕状の発行がされている。
シツダ・ルタの発行した、この逮捕状の有する権限に基づいて逮捕執行を任務として委託された
第十禁騎士団の金斧騎士、
シャックス・ブローバを代表とした騎士達が
諸君らの逮捕を執行するものである。

禁騎士諸君は神妙に同道されたし。
尚、
逮捕状の出ていない数名の騎士に関しては、抵抗をせねば第三者として扱われるが
抵抗した場合、ボリス容疑者が起訴された際、
それをもって、後日、強要による間接的な脱走の幇助の容疑
逮捕状の発行が請求され、手続きを執る旨ここに通告致す。
この場で手向った場合、公務執行妨害の現行犯を付加された、
ボリス容疑者と同様の容疑者として扱い、
尚且つ、緊急の判断として無力化殺害する許可を受けている。

逮捕状の出ていない騎士に関しては投降する、あるいは抵抗を放棄して逃げることを我々は咎めない。
その場合、後日、任意同行を求められる可能性は残る。

警察権の行使に拠る通告は以上とする。代表者ボリス卿!従うか、拒否するか、答えられたし!
法騎士シツダ・ルタの命令には返答の黙秘は許可されない!」

 流暢に通告の声を上げるシャックスの言葉は、第十禁騎士団の団長、
ボリスと彼が率いる騎士達にとって青天の霹靂であった。
ボリスはじめ、囲まれた円の内側に立っている
禁騎士達からしてみれば、身に覚えがないどころか、
彼らがその身に負っている任務の内容は、
シャックスが告げた容疑とは真逆の内容の任務である。

 頭部保護具に覆われて、その表情は隠れてはいるものの、
ボリスと呼ばれた騎士と思しき男の野太い声は不安定に跳ね、
その声の色は、顔を見せずとも充分に
彼がその心中に抱えた動揺と当惑とに焼かれている事を教えていた。

 どういう状況、とモノがエクスに尋ねる。

 「シャックスという騎士は、我々の支援を請け負ってこの場にいる。
味方と断言できる人物ではないが、今の段階では敵ではないと思われる」

 その問いに答えたのはカルマだった。
カルマの上げた声は少女らしからぬ異様な声…この世のものとは思えぬような、
低音をいくつも重ねた、まるで物音のような声であった為モノは驚きと畏怖とで眼を見開く。

 「シャックス卿!自分で判断してみたまえ!
その容疑は完全な言いがかりだ!
我々は法務庁公共警備部の要請を受けて、
そこなクロウス・アーメイの脱走を防いで、
彼を捕縛する為にここに配置されたのだぞ!」

 そんな事は存じ上げぬとシャックスは、ボリスの言葉を一蹴する。
感情を見せようとしない、冷たい声でシャックスはさらに告げる。

 「容疑は逮捕状が有る以上、私が白だ黒だと断ずる代物ではない。
申し開きは私にして貰っても困る。
起訴か不起訴か決めるのは警察部か検察部の仕事だ!」

 ボリスは──シャックスの足下に伸びる長大な影に戦慄し、心中に確信を抱く。
部下であった筈の男は、──
いや、ある男の野心の影は…法による権限を傘に自分達を野心の糧に自分達を──
食おうとしている。

 「…おのれ、その野心の為に法を穢してはおらぬか。
その言い草。内部告発と言ったな、誰の告発だ、己の捏造か!」

 ボリスの追及にも、シャックスは眉一つ動かさない。
顔を隠して動揺を見せるボリスと、
顔を晒して心中を見せないシャックスはこの場において
まるで対照ではあった。

 「法を侵したか否か聴取する為に逮捕と申し上げた。
繰り返すが、違法行為があったかなかったか、それは今論ずる事ではない。
事情をお聞きするのは王都禁殿警察部であろう、ボリス卿。
根拠とする告発と証拠品は禁殿警察部から説明と開示がある事と思う。
お疑いの段、取調べの際に聞かれるが良かろう」

 「聞き分け給え!──陛下を──敵に廻すぞ!」

 「虚言による恫喝を行ったとして容疑にマイナス要因が加わるぞ。
──お言葉はそこまで。
もはや問答は無用。
警察行為に従っての同道、是か、否か、ボリス卿!」

 「こやつ、義に偏り忠仁をないがしろにする言い草を言うは、まるで騎士道の影!
断じて、否ッ!
貴様ら、構わぬ、クロウスを拘束しろ」

 激昂したボリスが、部下達に号令を飛ばす。
しかし、部下達の何人かは逡巡する。
シャックスが通告の言葉に潜ませた毒がその心中を巡っていたのだ。

 ──異様な事だが、抵抗をした場合に限ってのみ、
その時点で有罪にされる可能性が跳ね上がる──。

 禁騎士は、特定の税金による収入や、領地所有権を認められない代わりに
いくつかの税金を収めることを免除され、
禁殿の内部からの命令に対して
莫大な金銭を対価として受け取り、行動に移る事を王都に認められている。

 だが、起訴されて有罪とされた場合、騎士の地位が残ったとしても
当事者達は禁騎士団からの社会的制裁として、
禁騎士団を統括し、
他の禁騎士団に対して措置を強制する権限を委ねられた第一禁騎士団から、
禁騎士団を追放処分を受けるのは間違いない。

 奇妙な話だが禁騎士団の追放は迅速に行われるものの、
騎士が禁騎士団に属する為の前提である資格、
禁騎士指定を解除される手続きには相当な時間を必要とするのだ。

 これは、禁騎士団からの追放は騎士団側が執行するが、禁騎士の指定解除は女王が執行するという
法制度に起因しての事である。

 仮に禁騎士が所属する騎士団を追放された場合、
騎士団を追放された状態で多忙な女王の事務処理を待たねばならないわけだが
有罪判決の出た禁騎士は、即時騎士階級の剥奪が判決で言い渡されない限り、
騎士階級を証明する勲章を返上、地位を奉還することが出来ず
王都に所属を帰する禁騎士である為に、
他の騎士団や特定の領主に仕えることは禁騎士指定の解除がされるまで認められない。

 付随して、女王の承諾が処理されるまで実質、収入は全く無い状態になる。
一定階級以上の騎士は、階級と役職に応じ、収める税金の額が跳ね上がる。

 そして、その収入の無い期間もそれは例外にされずに計上される。
税金の優遇措置は禁騎士団を対象として施されているものであるため、
騎士団を抜けているが禁騎士であるという奇妙な位置づけに位置する当事者は、
金銭的に莫大な損害を蒙る。


 もし逮捕された上に、有罪であるとみなされ、
刑罰として財産の何割かの没収を没収される判決も共に下ってしまえば、
比喩を抜きに何もかもを失う事に繋がりかねない。

 女王の擁護は果たして得られるのか──。
シャックスも、女王を除いて、最高権力にいる人物からの
命令を受けてこのを執行しに来ている以上、
その容疑を引っくり返して、自分達がこうむったのは冤罪であると簡単に証明できる見込みは少ないだろう。
万が一、そんな事になれば逮捕状を請求したシツダの糾弾に繋がり、国政さえ揺るぎかねない。

シツダほどのものがそのような事態に
繋がりかねぬという程の見通しで
この逮捕執行に踏み切ることはないといって良いだろう。

 故に自分達が逮捕された場合を見越して、起訴をさせ、
検察庁が有罪と押し切る為の工作は既に為されていると見ていいだろう。
──この任務は、騎士が特別に区別する、
彼ら自身が女王や彼ら自身の誇りに誓いを立てて行われる戦闘ではなく──
飽くまで生活の為の戦闘行為であるという思考が、ボリスの部下の内の何人かの偽らざる胸中ではあったのも確かだ。

それは動揺となり、胸中に生じた影は彼らの剣を確実に鈍らせる。

 「それを返答とするぞ──ボリス・ジーニアス一行の逮捕を執行致す!
ボリス卿の部下諸君はここで死ねとボリス卿は勝手に仰ったようだ、
残念だったな、諸君!」

 シャックスもボリスの返答を合図として、令状を手放すと令状はばらばらと空中を泳ぎ
シャックスは、腰に佩いた片手半剣の柄に手を掛ける。

 「状況を把握した、説明ご苦労」

 エクスの声が上がり、
意を決して、エクスたちに飛び掛ったボリスの部下の騎士の一人が
軽々と吹き飛ばされるのを、ボリスは目の当たりにする。
ガツンと音を鳴らして、騎士を殴り飛ばしたモノは両の拳を合わせて打ち鳴らす。

 「まぁ、せいぜい勝手にやっててくれ、勝手に通るぞ」

 エクスの言葉を受けて、モノはボリスの方に向かって歩みだし、エクスとカルマがその一歩後に続く。

 もう殆ど自棄になったボリスと彼の配下の騎士達は、
モノたち一団に一斉に飛び掛るが、シャックスの配下の騎士達も彼らに殺到し、間合いを一気に詰める。

 打ちかかる騎士の剣撃を、まるで水溜りでも避けるかの様に歩きながら避け、
向き直って後ろからもう一度剣を打ち込もうとする騎士を、カルマの蹴りが弾き飛ばす。
背後から殺到するシャックスらに気を取られたボリスの前に、早くもエクスは躍り出る。

 「丸腰ッ」

 丸腰の相手に斬りかかる事をボリスは一瞬躊躇したが、
その躊躇を振り切って剣を振り上げようとした時には、もう、エクスは彼の間合いの中にいた。

 「貰っていくから気に病むな」

 エクスの言葉が空中を泳ぐときにはもはやボリスは剣を胸元に引き込み、突きの挙動を見せている。
エクスは軽く肩を揺すって、手を下に畳むように曲げるが早いか、右腕をずいと前に伸ばす。
ヂャッと言う音が空間を削り取り
ボリスの飛ばした突きがエクスの手首に嵌めた錠を打ち、滑り、削った鉄が物音と共に火花に化生し、空中で踊る。
突きの軌道を逸らされと見るや、
ボリスは踏み込みに掛けた体重を後ろの足に戻し、踏みとどまって後ろに下がろうとするが
前進するエクスの挙動は初動を緩慢に見せて、
ボリスの計るタイミングを狂わせてから一息に鋭く伸びる。
突きによって突出し、空中を泳いでいたボリスの右腕の先の手首を、右手を軽く廻してグイと掴むと、
エクスはその剛力で一押しする。

 ボリスは半分浮かせていた左足を泳がせバランスを崩し、
足に次いで身体を泳がせたところを、
今度は掴まれた腕を思い切り引っ張られてエクスの腕力に振り回される。
エクスの周りを半周するように歩かされたボリスの背中に鋭い痛みが駆け抜け
ボリスは思わず、ウウッと叫ぶ。
足の止まったエクスに打ち込んだ味方の剣撃に打たれて背中をばさりと切り裂かれたのだ。

すかさず、エクスはボリスの背中に回りこみ、彼の手を彼の背中に向けてねじりあげ、
彼の胴体を吹き飛んだ兵士の方向に向けて
握力の弱まったボリスの拳から落ちる両刃の剣を取り上げると
ボリスの右の脇腹に右足で軌道の短い廻し蹴りを見舞う。
くの字に歪んだボリスの身体は脇に二三歩よろめいて
エクスは右手に持ち替えた剣を、ボリスの右の陰腹に
擦り付けるように滑らせる。
シュウと鑢を擦り合わせるような音が上がって、
じくとボリスの脇腹が血で濡れる。
走った剣は、ばくりとボリスの脇腹を割り
その鎬までをボリスの血で汚していた。
流れるような動きでエクスは、ボリスの背中を前蹴りで蹴り付け、ボリスを突き飛ばして剣を引く。
ボリスの腸に届くような深く、広い陰腹の傷口からは、
剣のエッジに纏わりついて血と脂とが糸を引いて僅かに伸びる。
ボリスの正面を飛びのいてから態勢を立て直そうとしていた禁騎士は
足をもつれさせてよろめくボリスをよけきれずに接触し、
ボリスが転倒するのに巻き込まれて倒れる。

 禁騎士たちの乱戦を潜り抜け、モノが、次いでカルマがエクスを追い越して、
悠然と歩み寄るシャックスの脇をすり抜けて広間の出口へと走る。

 「名誉の負傷だ。容疑を晴らすのには充分だろう。
死にたくなければ精々辛抱する事だ」

 エクスは、ボリスに向けて告げると、勢いをつけたその足で
ボリスの下敷きになった騎士の右手を踏みつけ、拳の骨を砕いて、顔を上げる。
シャックスが顎を動かして、無言のままで自分の背後を示すと、エクスも無言で頷いた。

 剣を手にしたエクスは足を踏み出し、コートをたなびかせてシャックスの脇を通り抜ける。
制圧されるボリスの騎士達が倒れる音、柄物を打ち鳴らす音が続く中、
シャックスとクロウスの影は交差する。
悪態の一つもついてくれようとシャックスは振り向く。
振り向きもせず悠然と出口へと向かうエクスの背中を睨むと、しかし、
シャックスはものを言う事を踏み止まった。

 一ヶ月前の接触がシャックスの脳裏をよぎる。

 あの男は、一ヶ月前、有利に転ずる為の擁護や味方を自分の為だけに易々と捨ててみせた。
己の意思のみを貫く魔人。
他者の存在しない、他人の影しか映らない絶対の世界を、ただ、足を止めずに前に進む。
少なくともシャックスは、エクスに対してそのような印象を抱いていた。

 それはある面で事実と言えた。
エクスも、過去に思いを馳せる。
エクスは只、自分の壊した過去を殺し、自分が未来に償う事だけを願っていた。
グーヴァイン市で、自分の半身、シヲン・クノウではなく、女王、シヲン・ミドガルドに手を伸ばせば、
女王は寄生型ルサンチマンに存在を奪われずに済んだかも知れない。
だが、エクスは騎士シヲンに手を伸ばした。
女王の命を棄て、騎士、いや、シヲン・クノウの命を得ようとしたのだ。
その決断に失望した騎士シヲンは、エクスに絶望して、ルサンチマンへと生まれ変わり、殺された。
その決断に失望した女王シヲンは、騎士の選択に絶望し、ルサンチマンに生まれ変わった。

 ──「お前は、私の知っているクロウス・アーメイではなくなった。
私は、私の知るクロウスを奪われた。
私の中で割れたお前の姿はもう、世界が終わっても、もとに戻ることはない
そして、女王陛下ももう、助かることはないだろう。
ナイトガルドは、王の血筋を失ってしまう。
私達すべての王を、奪ったのはお前だ。
私が今までクロウス・アーメイだと思っていたものは、全てを台無しにしてしまった。
お前は、私の半身を、私達の国の王を奪ったのだ。
その傷の深さを知り、呪われるがいい、クロウス・アーメイ…」──

 その言葉と声は、今もエクスの記憶に焼きついている。
その声は、シヲンの人間としての最後の言葉だった。
彼女はその言葉を残して、その存在を、乗騎とする一領の魔装鎧ごとルサンチマンに奪われた。

エクスは既に血の止まっている
鎖骨を割った傷に指をねじ込み、湿った音をさせて
メーテに打ち込まれた弾丸を抉り出し、脇に投げ捨てる。
胸板を伝って再び血が流れ、
彼の右手の指は血に濡れ、下げた手の指先から血が滴って床を濡らす。



痛みはない。エクスの神経と記憶の中を、痛みの記憶だけが懐かしく漂っている。
それは紛れも無く、彼の持つ音の欠片であった。

 そしてエクスは前に進む。
シャックスを振り向くことはしなかった。
いつか、エクスが振り向くのではないか。
怒号と喧騒の中で
壁に据え付けられた灯火に向かって進み、
遠ざかるエクスの影が次第に長くなっていくのを、シャックスは見た。



 「ここも真ッ平らだな。対空監視、どうだ?」

 ユーンが切り立った崖から眼下の平原を見下ろし、うんざりした調子で呟く。
機影も、防衛ラインらしきものもセンサーの感知する特異な反応も見当たらない。

 「見渡す限り星ばかり。ここは本当に敵地なのか?」

 二三秒経って、オクトパスの車両長、ヘンリー・ドラインがあくび交じりの溜息を返してくるのを受けて
マルコが呟く。
 「さすがに気持ち悪いな、これだけ進んで何も無しなんていうのは。
ステルス値のチェックはしたか?」

 マルコが溜息をつくと、ユーンのクワィケンは下がって崖の下に迂回するべく向きを変える。
 「しないわけが無い。不自然に
霊子反応の少ないポイントがないかどうかは一番にチェックしたが全くもって正常値だ。
…完璧に健全に見えるものってなぁ、気持ち悪いな、本当に。
こっちがその気になれば途中の村の一つ二つだって中継の為に占領されてもおかしくない状態だってのに
防衛戦力も出してこないなんて、連中、頭おかしいな」

 ユーンも沈黙を守る敵前線に軽く苛立っているのか、
少々ささくれた声の調子で敵への悪態を突く。
んぁ、とマルコが生返事をして、間を置いて提案を持ち出す。
 「──はなから、末端の村は捨てているか。
こっちの建前上、
防衛戦力の乏しい村に手を出してまで拠点を築くことはしないと踏んでいるか…
【相手が途中の拠点を攻めないという前提】で、何も対策を施していないなんてのは
ユーンの言うとおりまともな考えで出てくる戦略じゃない。
裏はあると見ておいたほうがいいな。
実際連合騎士団は余裕を見せて
大した戦力を配置できるスペースもない、道中の拠点は攻めるべからずなんてお達しだが…
さすがに、こいつは臭う。
…連合騎士団に要請して、
空戦用を先行偵察に出して貰うか」

 マルコの呟いた意見に、ボークリフは賛成の様子で指を鳴らして声を上げる。
 「先行してリスクをかぶってるのはこっちも同じだ。
アホ面下げて俺達が相手の企みにモロに引っかかったら笑えねーし、
とにかく敵の構えというのは把握したいな
空戦用は何機来てるんだ?」

 「各領土一機、合計二機だ」

 うはッとボークリフが声を上げて嘆息する。

 「それじゃ出したがらねーわけだな。
まぁそんなの知った事じゃねーし。
傷の騎士団だって全体的には盆暗騎士団というわけじゃないんだから、是非お願いしたいね」

 クワィケンに乗っているユージンとユーン、それにオクトパスのクルーもこれには賛成の様である。

 「あん?何ィ?」

 マルコが声を上げようとしたタイミングで、オクトパスのクルーが突如、
別の通信に向かって大声を上げるのを、ヘンリーの通信機器を通じてオクトパス班の面々は耳にする。

 「どこからだ?魔装鎧にも通信廻せ」

 クルーの声の調子から事態がいよいよ運動したと見て、マルコはオクトパスのクルーに尖った声を上げる。

 ルカ班の直近の村に、ノーブル・アーマーが単騎で潜伏していたようです、とクルーから返事が上がり
続けて、クラーケン級支援車両ルカの通信魔装から発信された通信がコヨーテたちの耳に飛び込んできた。

 「オクトパス、オクトパス。こちらルカ班班長、バイパ・シルバです。
単騎で潜伏していたと思しき
ノーブルアーマー・ガラティンに奇襲を受け、クワィケン二騎が大破し、パイロットは重態です。
ルカにも被害が及び、無限軌道の損傷から進軍出来ない状況です」

 「ちぇっ、ノーブルかよ、ええい、そのノーブル…敵はどうした?」

 「こちらに囲まれる前に離脱、撤退しました。
牽制行動だと思われますが、現在再攻撃を警戒中です」

 「仮眠はお預けで、連合騎士団前線を押し上げてもらおう。
再攻撃を受けたとしたら、持つか?」

 「ルカの砲がスタンバイしましたので…五分五分です。
無論、さらに敵の駒が居たら非常にヤバい状況です。 バニシングレイがあるからうかつに近寄れないというのが
僅かなアドバンテージでしょうか…」

 「ガラティンがモルレドウ領に配備されてるだって?
そんな話は聞いた事がないぞ」

 乗員達に叩き起こされたのか、ジャックが通信に割り込んできて開口一番怒声を上げる。

 「マジックミサイルを食らうような中距離で確認した。識別も間違いなくガラティンだった。
グーヴァイン卿の機体と連番なのを確認したから気味が悪い…」

 グーヴァイン市に配備されていたガラティンや魔装鎧、支援車両の多くは
グーヴァイン卿のものを初めとして
一年と少し前の事件の際に回収の難しさからグーヴァイン市にそのままの状態で放置されているという
認識が一般的である。
まして、戦死したグーヴァイン卿の機体の予備機と考えられる機体が現在運用できる状態にあるなどとは
だれも思ってはおらず、
それを現実に目の当たりにしたものが
グーヴァイン卿の亡霊でも見たような印象を抱くのは当然といえば当然の事であった。

 「マジかよ、ありえんて。ガラティンを所持していたグーヴァイン領から
どこかの騎士団が騎士団単位で回収したとかでもなきゃ…
ありえないだろ、
今のグーヴァイン市、
いやグーヴァイン領なんておいそれと入れるような場所じゃないんだぜ」

 予想だにしていなかった機種のノーブルマシンが出現した事に動揺したジャックが文句を言い
その陰気な空気が拡散する前に、ユージンが意見を述べてジャックをたしなめる。

 「いいや、ありえないというほどの事でもありやせん。
あんまりありえんのなんのとおっしゃっちゃあいけませんぜ。
現在のグーヴァイン市から秘密裏に回収するのは規模から言っても難しいかも知れやせんが
事件の時はあの混乱だった故、
持ち出すものが居たとしても、把握は難しいでしょうぜ。
なんでもかんでもすぐにありえないてえ
言葉で可能性を唾棄していたら
頭の中に咲いたお花畑ごと、本物のお花畑に連れていかれッちまいますぜ。
マイナスで無い限り可能性はある。そして起こった現実には、
理屈をこねる前に適応しないといけやせん。
どっちかといや、敵さんがやっとこ動きを起こしたのは理にかなった事だと思いますえ。
ノーブルマシンのきらびやかさに眼を奪われて、
こちとががたついたら喜ぶのは敵さんだけでさ」

 意見を述べながら、
ユージンは特徴的な広い肩幅の、筋肉質で背の低い身体を、
コクピットの中で揺すって黒い髪の毛を後頭部中央で束ね上げる。
コンソールを叩いて火器管制システムを呼び出し、火器の状態を再確認するとユージンは地平に目を走らせる。
背後からは、ユーンのクワィケンが追いついてきた。
その向こうにはオクトパスの巨体も控えている。

 「ウム。仕事だ、仕事。起きたんならさっさとクワィケンを出せ、ジャック。
俺もマツカブイを出す。
どうせ我々は警戒態勢で進行方向の修正になるぞ」

 ガクンと音をさせて、
ハンガーの拘束から機体を外すとマルコは少しだけ髪の伸びた坊主頭を一つ撫で上げた。



 「ハハッ、なんだこりゃ」

 エクスが、第十禁騎士団倉庫の設備の一つ、簡易ハンガーの前でその黒い機体を見上げて笑い声を上げる。

 アイギスと生き写しのその機体。
優美な曲面で構成された、漆のような鮮やかな黒い装甲に覆われたその魔装鎧は、
腰に二本の太刀が据えつけられ、
その下腹部のコクピットはハッチを開いており、
乗り手との再会を待っていたかのように隠微に光っている。
鎬の鋭い胸部装甲をはさんで、頭を垂れた美しい楕円の兜が、その、僅かな光を受けて鈍く光る。
アイギスとは異なり、頭部には眼を思わせる窪みがあるのを見て取れるが
右眼にあたる部分は装甲で塞がれている。以前乗っていたときは、
左右対称、眼は二つの面であったとエクスは思い返し、肩を竦める。

 「グレンの野郎、片目の神にでもあやかったか、運命の神は斜め上の冗談が好きだな」

 エクスの笑い声を聞いたモノは唖然として交互に
その機体の顔と、エクスの顔を見比べ、この機体は、と声を上げる。

 「ノーブルマシーン、カリバーン。
運命に導かれて、王の剣となる事を永遠に願いつづける夢の欠片…
われらの愛しき子、【なり損ない】さ」

 そう言って、唇の端に笑いの影を見せると、エクスはカリバーンのコクピットにゆっくりと歩み寄り、
コクピットの縁を、右手の人差し指で叩く。
コクピットの縁は僅かに血で汚れ、コォンという金属音を立ててエクスの行為に答えた。

 「シツダ曰く他のハンガーは、デアブロウのものを除いて大半、シャックスが魔力の供給を落としている。
復旧する前にずらかるとしよう」

 カルマの向かった方角を指差して、エクスはモノに、そちらに向かうように促す。

 「向こうなのか?」

 モノが不思議そうにエクスに問う。

 「俺はこいつを乗りながら調整しないといかん。
コクピットの中に他の要素があるという状況は避けたい。
カルマはどんな機体でも調整なしで一発で乗れる」

 何、とモノが言葉の意味を測りかねて聞き返したところで、
カルマの向かった方角からバヂッと何かがはじける音がした。

 「あいつ自身が魔装の塊みたいなもんでな、
システムを強制的に書き換えて、自分に合うようにしちまうんだよ。
そういうわけで、お前さんを抱えとく余裕は向こうのが上だ。
多分今のは、
書き換えを終わらせて無理やりリブートでも掛けた音だろう…
サ、行った行った」

 モノが駆け去ったのを見届けて、エクスはカリバーンのコンソールに指を置く。

 「俺を、覚えているか、カリバーン──」

 エクスの声に答えて、カリバーンのコンソールは光を放ち、
コクピットシート左右のコンソールがせりあがる。
魔装鎧のシステムが待機状態の解放を訴えているかのように、歌う。
エクスは一息にクロウス・アーメイの名をコンソールの上に綴り
その上に大きくバツ印を描く。
エクスの血が、その痕跡を残し、コンソールには一際大きな、
赤いバツ文字が残る

 「使役者たる我が名はクロウス・アーメイ、
名を改めエクス・ノア。
王の剣となる永遠に失われつづける夢を、
星の数の英霊と共に、影の世界で叶えに行こうぞ」

 エクスが新たに、コンソールにエクス・ノアの名前を綴る。
ジェネレータとコンバータが鳴動し、カリバーンが目覚め、その面を起こす。
ぎらとカリバーンの眼が赤く光り、コクピットハッチを閉じると、
カリバーンはその身体をゆっくりと立ち上げた。

 その高貴なる黒色は、命を懐に抱き、眠りの中で光りに耐えうる活力を与え、癒す──
夜そのものが生命を得て立ち上がったような荘厳な気配を纏っている。

 エクスがカリバーンのセンサーを動作させると、
基地内の何処かから融通したのか、四騎のフラ・ベルジャと
一騎のダィンスレーがこの倉庫の中を、間近まで接近していることを
カリバーンはエクスに教える。

 「やべえな」

 エクスはコンソールに展開した情報を目の当たりにしてギイと笑う。

 「もっと来るかと思ったモンだが、
これだけじゃ、満足に調整を出来そうにない。
──居ないよりは、マシだがな。
──カルマ、一応、直接同期を寄越せ」

 ギシと音を立ててカリバーンが太刀と刀を抜き払う。
刃に眩い光が宿り、カリバーンの見据える先、間合いにして、
魔装鎧の三十歩分ほどの距離の
倉庫の鉄の扉の陰、天井からぶら下がった物資運搬用の巨大なフックよりも、
50A程手前の辺りに
先鋒のフラ・ベルジャの影がちらとよぎる。

 フラ・ベルジャの隠れた鉄扉の縁を、カルマのデアブロウのハンドガンの光弾が削り
フラ・ベルジャが左右から同時に踏み出してアサルトライフルを構える。
構えると同時に、赤色の光が己を睨むのを、フラ・ベルジャのパイロットは見た。
それを意識したときには既に、鉄扉を盾にした左のフラ・ベルジャの胴体は目の前の鉄扉ごと、
袈裟懸けに振るわれたカリバーンの太刀にぶッた切られていた。
わずか一瞬の間に、カリバーンは、間合いを鉄扉まで詰めて居たのだ。
その刀が通った痕跡、灼けた鉄扉とフラ・ベルジャの装甲の欠片が空中を舞う刹那、
瞬間の出来事に、反対側のフラ・ベルジャが飛び退いてアサルトライフルをカリバーンに向けようとするが、
フラ・ベルジャのパイロットは飛び退くと同時に自らの乗騎の異変を感じ取った。

 ──前に出していた右脚の膝が既に両断されている。──

 胴体を両断されたフラ・ベルジャの胴体の落ちるダァンという轟音が響き、その直ぐ後に脚を切断された
フラ・ベルジャが転倒する音が続き、仰向けに転倒するフラ・ベルジャのライフルは天井に向けて火を吐く。
すぐさまずいと踏み出したカリバーンの刀が地を舐めて、
カリバーンの脚は刀が床に叩きつけるエネルギーの反動を受けて、
床から僅かに浮き上がる。
カリバーンの刀は膨大なエネルギーを放出しつつ、床を引き裂きながら
振り上げられ、
その刀は、光の帯を引いてフラ・ベルジャが晒した右腕の脇を真ッ二つに両断し、
コントロールを失ったフラ・ベルジャの右腕が剣撃の勢いで弾き飛ばされる。

  続けてカリバーンは、身体を回すように、ぐるりと太刀を払って、尻餅をついた
フラ・ベルジャの胸部を撫で斬ると、カリバーンは剣を十字に組んで構えを作る。
バウッと刀と太刀が吼えて、エネルギーを放出し、そこに着弾した銃弾が蒸発し、霧散する。
僚騎を援護する間も無く二騎落とされたフラ・ベルジャが離れた場所からアサルトライフルを放ち、
カリバーンはこれを防いだのだが、
銃弾を放ったフラ・ベルジャが、もやのかかった視界の中でカリバーンを補足しようと連射を続けながら
一歩を踏み出したところで、フラ・ベルジャは、
壁を蹴って加速する事で、上空から流れ星の様に降ってきたカリバーンの刀に胸部を貫かれる。

すぐさまカリバーンは刀を外側に払い、ばっさりとフラ・ベルジャの上半身の半分以上を造作もなく引き裂いて、
鋭い回し蹴りでフラ・ベルジャを吹き飛ばし、残るフラ・ベルジャとダィンスレーを捕捉する。

 「月渡りとやら、なかなかのものだぞ、モノ・アナンダ。
三次元戦闘モードに頼らずに方向転換するには便がいい──
こいつは、頂いた」

 すぐさまエクスが脇に飛び退くと、アサルトライフルを打つ構えに入っていたフラ・ベルジャが
天井から落下してきた巨大なフックと斜めに切れ目の入った
極太のワイヤーに押しつぶされて、地鳴りのような音と共に、その質量に無惨に引き裂かれる。

 瞬時に三次元戦闘モードを起動し、高速旋回でフックを迂回したダィンスレーは、
右手に剣、左手にハンドピストルを構えカリバーンの姿をほこりの舞う空気の中に視線を走らせて探す。
 ゆらと動くものの気配を捉えたダィンスレーは、反射的にその方向にハンドガンを発砲する。
飛び退いてその影は辛うじて銃弾をかわし、
その影、カリバーンは真っ直ぐにダィンスレーに向かって踏み込んでくるが
ダィンスレーも腰の装甲を展開し、
マジックミサイルを四発全て撃ち、ハンドピストルを撃ちながら自らも前進を掛ける。
放たれたマジックミサイルは、全てカリバーンの前進速度を捕捉しきれずに軌道を狂わせ、壁や床に着弾していく。
あえてカリバーンの向かって左側にピストルの光弾を着弾させ、カリバーンを牽制すると
ダィンスレーは
三次元戦闘モードで機体を浮かせ、斜め上段から巻き込むような斬撃を、
カリバーンに飛び込みながら
手にした剣でもって繰り出す。
竜巻のようなその一撃を、カリバーンは上腕と下腕をつける様に構え、
肩まで掲げた右手の刀で、火花散らせて受け止める。
反発するように働く力の流れに乗って機体をぐるりと旋回させ、
カリバーンの左手の太刀は空中を走り、
ダィンスレーの腹部をピシリと両断し、二つになったダィンスレーが地に落ちる。

 「うはあ…なんなの、このチート野郎」

 デアブロウのコクピットの中、カルマの収まったシートの後方に身体をねじ込んだモノは
カリバーンの凄絶な戦闘性能を目の当たりにして、もう笑うしかないといった態で声を上げる。
低い姿勢のままカリバーンが両手の柄物を鞘に収めてから、身体を起こす。

 「フラ・ベルジャも、
ダィンスレーも…もそっと判ってる奴が乗って居りゃあまるで別ものなんだがな。
収入の不安定な禁騎士はオタクかマゾが志願してなるものだ、
普通じゃない分、向き不向きと質もピンキリさ」

 「オヤオヤ!」

 「何だね」

 別物と断言できる材料の、グレンの挙動を思い返して言葉を紡いだエクスは、
解説を聞いたモノが呆れたように声を上げたのに意を留めて、モノの上げた嘆息の真意を問う。

 「クロウス卿は禁騎士団長あがりなんだろう?
それじゃ、エクス・ノアはオタクとマゾのどっちの親玉だったのさ?」

 「両方百人持ってきたとしてもだ、
どっちの要素だろうとも
俺に勝てる道理は誰にも無えな。決まってるだろう、常識的に考えて」

 「やれやれ、王都の騎士の本性見たりってところだな、ナイトガルドがちょっと嫌になった」

 モノは呵呵と笑いながら、カルマの座したシートの後方スペースにやっと腰を落ち着ける。
 「そいつは良かった。王都から抜け出したら、今後の身の振り方でも考えたらいいかも知れんな」

 エクスもフッフと笑って、左眼で倉庫の出口に続く通路の奥を睨む。

(完璧にまともな人間とやらが。
この世にたった一人でも生まれ出でたれば、この世は用を終えると思うがね)

エクスは、言葉を口中に溶かして、カリバーンを一歩踏み出させる。

 カリバーンの名は、
過去の王にして未来の王、現在、人間と共にあらぬ理想の王の手にしていた剣の片割れの名である。

その剣になる事は、騎士全ての宿願といってもいいのかも知れない。