031.5_Look Up





 オウディス領の首脳都市、フェナーカ市、その中心には、領主、グレン・オウディスの居城が有る。

その巨大な城の一角には、空から降り立つ魔装鎧を迎え入れる為のマシンポートと呼ばれる設備
(と言っても、発着の管理の為の設備の他は、発着にの為に舗装された
広い平面スペースがその殆どを占める場所だ)が有り、
そこに一騎の金色の魔装鎧が降り立つ。
丸く、大きな肩の装甲と、背部の長く尖った二本のフィン・ユニットが目立つその魔装鎧は
どっしりとした足をマシンポートに付けると、続けてマシンの角ばった膝を落として、接地させる。
魔装鎧は逞しい胴体をやや前傾させて腿の上に細長い指を置くと
脚部、胴体と異なって細い印象のある面を廻し、やや小さな面積で構成された腰部のハッチが展開する。  コクピットの中から姿を現した美しい女性騎士は、 ナイトガルドで最高の武を誇ると名高い騎士、ランサ・ロウである。

 現在彼女の騎士団がルサンチマンの浄滅に当たっている戦場の指揮の引継ぎを済ませ
特務に当たる為の全ての準備を迅速に整えたランサは、グレンとオウディス領で合流する手はず通り
その足で太陽の光を眩く反射する金色の乗騎アロンダイトを駆り、この場所までやってきたのだ。

 ランサは、首を廻して辺りを見渡すと出迎えに姿を見せた
ロングジャケットを身に着けた
黒髪の騎士の姿を見つけ、コクピットハッチから降りる。

 歩み寄る黒髪の騎士に、ランサも歩み寄ると、ランサは薄手の白の手袋を外して右手を差し出すと
黒髪の騎士も手袋を外してランサの手を握る。

 「ランサ卿、無理を言ってご足労をかけて申し訳ありません」

 「なんの。領内のゲートウェイを開いて頂いて労いのお言葉まで
頂戴しては勿体ありませぬ。
こちらこそ卿の計らいに御礼申し上げるべきところです。
──グレン卿、ランサ・ロウが参上いたしました」

 ランサと握手を交わしたのは、武芸百般に長じると世に評され、
その武、人徳に由来しその名もいまや雷名と言うに
相応しい影響力を持つ騎士グレン・オウディスである。

 グレンの、女王への信仰ともいえる忠誠心が、
エクスを通じて真相を知った時
マイナスの反応を示す事を恐れるシツダとヨシュアによって、
グレンは聖騎士達に一ヶ月前の重犯罪者クロウスとの接点を暴露され
その一件であわやグレンは失脚をする所であったが、
既に民衆や騎士からの揺ぎ無い人気を確立した彼の力は侮れない。
そういった彼である故、彼の支持者とて利権塗れの禁殿の中にも決して少なくはなく
そうした支援者や、グレンの部下の工作の甲斐も有って
シツダも彼の事を断罪するには至らなかった。
結果、グレンのその雷名は未だに健在と言えた。

 ランサ自身も「文武を備え、徳まで持つ。誇りは高潔、
誰よりも
王に接して忠義を知り、
しかして民に接して仁を知る。
あの人物こそ、お隠れになった
グーヴァイン卿亡き後の騎士道の太陽になり得る人物だ」
と常々人に語る、尊敬する騎士の一人であるグレンは、
ランサも受けた王都からの特務を快く引き受けた。

 引き受けて、ランサにも特務に当たって
見せたいものがあると連絡をしてきたのだ。

 「して、私が参上したら準備の仕上げというのをしたい、と仰っていたのは?」

 「はい、先ずは中に入りましょう。ニーズホッグ君が情報の抽出をして待っています」

 「ふむ・・」

 ランサは、グレンが今名前を挙げたニーズホッグという
技術系の騎士と接するのを不得手としていた。

 ドーリの様に技術研究による叙勲を果たした
金斧騎士ニーズホッグ・ユガーは、消息を絶った
マリー・ワンドと並ぶ魔装技術の天才と評されるが、
礼儀を弁えず、自分の興味のあることの他は
全く無関心である為、彼を知らぬものはコ
ミュニケーションを取るのに非常に難儀する。
以前顔を合わせたときのランサも、その例外ではなかった。
性格も、暗いというわけでもないのだがランサに取っては変人と感じられる異質な人間であり…
とどのつまりは何を考えているか判らない人物であるとランサは捉えていた。
 「ニーズホッグ卿の喋りを聞くと頭が痛くなる…」
とランサが彼女らしからぬ陰口を言うと、
背中を向けて歩き出したグレンは肩を少し揺さぶって笑う。

 「何、色々な人間がこの世には居ます。
型どおりではない彼のことを良く知れば、
型どおりでないものを沢山有している、知っていると感じ
見えてくるものが沢山あると思います。
事実私自身も、彼には自分の不勉強を大分教えて貰いました」

 …詭弁にも聞こえるグレンの言葉を聴いて、
グレンを追う足を出したランサは胸中で溜息をつく。
彼の眼にはどう見えるか判らないが、この男は惚れっぽい。
安易に人間の才能に惚れてしまうのがこの騎士の傷といえば傷だ。

 ランサは、グレンに対してその様な印象を抱いていた。

 ──あの、盟友だった筈のクロウス・アーメイにさえ裏切られたではないか。
規格化された厳格なルールに従って自分を律する事の出来るものこそ
信頼に足る人物だと、グレン卿は思わないのだろうか?──

 ランサはもう一度…今度は、本物の溜息をついてしまった。

 「──人の魂を数量ではかり、
基準にしたものに当てはめて、優劣をつけることは、
それは人間のうぬぼれだと私は思っています。
…型にはまらない事を安易に不徳とする考えは、私にはありません」

 ランサの物憂げな溜息を聞きつけたか、それとも心の声を見透かしたか
グレンがたしなめる様に声を上げる。背中は向けたままだ。

 「いえ」

 思わず背筋をしゃんと伸ばしてランサが答える。

 また、少し笑いを漏らしたのかグレンの肩が揺れて、
二人はドアを潜り建物の中の廊下を延々と歩く。
ニーズホッグが研究の一環を行う部屋に向かっているのだ。

 長い廊下には、ナイトガルドの歴代の騎士の
絵画や彫像、優美な調度が並びランサは無作法にならぬ程度にそれらのものに視線を送る。

 天井の高い廊下を、ひたすら足音だけが鳴り響く。
廊下や角を曲がるごとに段々と調度や絵画の種類が少なくなっていく。
以前に訪れたときもそうであったなとランサは思い返し、
ニーズホッグの部屋がもうそろそろであるはずだと記憶を掘り返した。



 実際、それからまもなくして二人はニーズホッグの部屋の前にたどり着いた。
 グレンがノックしても反応は無く、
二度目のノックでどうぞwという
やたらと高い声が室内から返ってくる。

 「ニーズホッグ君、ランサ卿をお連れしました。例の件です」

 ドアの中に告げてから、グレンは重いドアを開く。

 薄暗い部屋の中は、本と机と、研究の計算に用いる魔装の石板で埋め尽くされていた。

広い部屋だったはずだが、
ごちゃごちゃと雑多におかれた本や魔装、図面のせいで微塵もそうとは感じられない。
ランサはそれが以前に来たときと
変わらぬ光景であると部屋の中をまじまじと見渡して再確認する。
その、山と詰まれた魔装や図面を掻き分けて、
奥の机から石板で出来た情報魔装を小脇に抱えて二人の前に姿を見せた白衣の男がある。
ぼさぼさで、伸ばしっぱなしの茶色い長髪、
肥満体で背が低く、牛乳瓶の底のような分厚いレンズを嵌めた
黒縁眼鏡をかけた妙に顔色の悪い若者である。
この人物こそ、殆ど原型を留めなかったカリバーンに新しい命を吹き込みつつ
フルレストアを施し
カリバーンの後継機、アイギス…エクスカリバーを、
マリー・ワンドへの尊敬と挑戦の念から完成させた技術者
ニーズホッグ・ユガーである。

 歩み寄りながらも、ニーズホッグは決して二人と眼を合せようとしない。
ランサはまずそこからして気が滅入る思いだった。

 「あ、ども。スイーツ(笑)お久しぶりッス、スイーツ(笑)」

 「以前もお聞きしましたが、スイーツ(笑)というのは私の事でしょう、
何故、スイーツ(笑)なのですか?」

 「スイーツ(笑)」

 ランサは、期待をしては居なかったものの、
答えをニーズホッグの返答に見つけることが出来ずに肩を竦める。

 ともかく、ランサも止むを得ず久方ぶりです、ニーズホッグ殿と声を掛けると、
ニーズホッグは暗い印象のある笑いを浮かべて、何度かかぶりを縦に振る。
 「して」

 グレンが、ランサの肩に手を置いて、ニーズホッグの持つ情報魔装を指し示す。

 「ランサ卿は、2 tunedなる魔装ナイトガルドネット上の情報フォーラムをご存知ですか?」

 グレンの口からでた言葉を聴いてランサは軽く眼を見開く。
紺碧の瞳は、驚きの色を映していたように見える。
 「名前だけは…」

 事実、ランサは内心に驚いていた。魔装により構築された情報ネットワークにおいて
最も制限の少ない外郭部に当たる、魔装ガルドネットは軍事ネットなどとは異なり
ナイトガルド内の人間がほぼ制限無く情報を参照できる階層であり
グレンが今名前を挙げた2 tunedもそのネットワーク階層に存在する、情報交換を目的とした
発言群を掲示しておくことの可能な、魔装ナイトガルドネットの中でも一、二を争う
巨大なフォーラム群であった。
規約にはかっての利用である限り、発言者の匿名性はある程度伏されての発言が可能であるため
誹謗中傷から始まって、虚偽やアンモラルな発言も横行し、
反社会的なフォーラムであるというイメージが強いことも否定できない。
 要するに、閉鎖的で俗悪なものであると捉えている人間も少なくないのだ。

 「意外ですか?」

 グレンが、ニッと笑うと、彫刻の様に美しい頬に
刻まれた頬の刀傷が歪んで、形を変えて違った貌を見せる。

 「正直に言えば、グレン卿の口からその名前が出るとは思ってもみませんでした」

 ランサは、ちらりとニーズホッグの顔に視線を送る。

 ──ニーズホッグが、グレンにそのような俗悪な入れ知恵をしたのだろうか?──

 グレンの口からその言葉が出れば違和感はあるものの、
ニーズホッグのような人間の口から出ても違和感は薄い。
ランサは、漠然とそれに薄暗い印象を抱いていた。
その、眼を凝らさねば潜んでいるものを判別する事の出来ぬ
とでもいうような印象は、故意に自分の考えを悟らせまいと振舞っているようにも見える
ニーズホッグの考えを測りがたい印象と重なる。

 「先入観と言うのは、あるでしょうね。
しかし、先ずは一見していただきたいと思います。
今から見ていただくのは、その、to tunedという巨大な情報フォーラムの一部です。
ニーズホッグ君」

 「おkwwwこれとかwww」

 ニーズホッグは、机の上の図面を脇にずるりと押しやって、
小脇に抱えた情報魔装を机の上に置いて、石板の上に指を置く。

図面や書籍に埋まるような場所に置かれた石板は、隠微な光を放ち、その表面に文字を描き出す。
ニーズホッグが文字を描き、慣れた挙動で何度かその石板の表面を指で叩くと
壷の絵画らしきものが石板の表面に表示される。

 「そのwwwと言うのは何を仰っているのですか?聞き取れないのですが…」

 ランサが、ニーズホッグの脇から石板を覗き込んで、
次いで、ニーズホッグの横顔を覗き込む。
ニーズホッグは自分の目の色を隠すように左手で眼鏡を押さえて、少しだけ顔を右側に傾けた。

 「っうぇ」

 「・・・」

 ランサが、またしても溜息をついてニーズホッグは石板を更に幾度か指で叩く。

 「ktkr」

 カカッっと音を立ててニーズホッグが何度か続けて石板を叩く。
石板は、表面を埋め尽くさんばかりの文字の羅列をその面に映し出す。
この独特の情報表示は、ランサも目の当たりにした事が有る。

 「む、これがお二方の見せたいものですか?」

 発言の内容は把握できないものの、ニーズホッグの挙動で推測したランサが身を乗り出す。

石板表面を指で上から下になぞると、
表示された情報は上に押しやられ、石板の下部から新しい情報が押し上げられるように展開する。

 ランサは、石板の表面に眼を通す。

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【陛下ハァハア】騎士ランサやばくね?113【してたら赤字なりました】

1:無銘@満腹ですよ。:903/9/03 18:44 ID
   恒例の年間10億グレイル前後を個人的に女王陛下へ貢いじゃう
   鉄盾領主ランサ・ロウをニヤニヤしながらヲチするスレです。
   お前のとこの領土この前年貢収支赤字だったじゃねーかw
   たまに普通に違う意味の「女王陛下あいしてゆ」を
   公然と口走ってしまう困ったアイドルランサ卿を楽しく観察しましょう。
   以下テンプレ。

2:無銘@満腹ですよ。:903/9/03 18:44 ID
   ・とりあえず喧嘩が強い
   ・ガチだとグレンさまでもフルボッコ説
   ・やたらと穀倉地帯が強い
   ・それでよく調子に乗って借金こさえる
   ・知らない間に禁殿の利権構造を敵に廻してたりする天然
   ・かわいいぜ・・・
   ・なぜか領内では陛下の肖像画なんかの二次元絵が超売れる
   ・外遊のときなんかの三次元画像データはマッハで買い占められる
   ・三次元戦闘モード(笑)経済効果(笑)
   ・でもあっち方面はチラリとかでも即効ボッシュートされた上に鬼の様に叱られる
   ・なんなんだアンタ・・・

215:無銘@満腹ですよ。:903/9/7 20:07 ID
   討伐ほっぽらかして陛下に求愛しにいったら禁殿のヨシュアに叱られたらしいぞw
   返り討ちバロスwww

216:無銘@満腹ですよ。:903/9/7 20:35 ID
   >>215
   もうそれ既出。
   ついでに言うと、「遊んでる暇があるならモルの喧嘩止めてこい」て言われたらしい。
   騎士団戦闘中だけど大丈夫なの?農家にはわかんねー
   教えてエロイ人

217:無銘@満腹ですよ。:903/9/7 20:47 ID
   >>216
   実戦もやった自治体青年団の魔装鎧マニアが通りますよ。
   ちなみにうちは酒屋だ。
   前例ではかるなら大丈夫だと思う。
   下に貼ったソースは同じ様な地形で同程度の戦闘を半年前にやった時のやつな。

   ………………

   ローカルマザー抜きのやつだけど。
   今は魔装鎧も進歩してるし、バッソウもかなり騎数入ってるし、
   王都下りもあって人材もいい方だから
   ランサたん抜きでも負ける材料を探すほうが難しいと俺は思う。
   手抜きはしないほうがいいとは思うんだけどね。

218:無銘@満腹ですよ。:903/9/7 20:58 ID
   正直ランサたんは近くで見るとやばいくらい可愛い。
   クンカクンカ
   叙勲してよかった。
   早くかえってこないかなぁ
   ランサたんの為なら死ぬる

219:無銘@満腹ですよ。:903/9/7 21:01 ID
   >>218
   ID末尾が地域制限解除した携帯魔装とかテメー出征中じゃねーか
   仕事しろボケ
   怪我には気をつけろ
   しかしとりあえずサボるのはやめとけ。ランサたんに殺されるぞ。

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 発言記事に眼を走らせたランサは、暫く言葉を発することが出来なかった。

 「…何この…何?」

 ランサは半ば、発言の内容を暫く把握できずに眼を見開いて二三度瞬きすると
発言のテーマになっているのは自分の事らしい、と言う事を悟り
ニーズホッグに顔を向けて問いにならない問いを発した。

 「デュクシwww見たまんまwww」

 ニーズホッグが会心の笑みを浮かべてランサを指差す。

 この発言記事に書いてあることはランサに取っては
一般に知られていない事であると認識している事柄であった。

 しかし、この発言群には確かに、発言の元になる事実もあり、
自身もその事実に覚えがある。
進んで人に訴えることでもあるまいと
黙っていたものもあるため、安易に中傷だということは出来ない。

 言論統制、思想統制は撤廃されており、事実に対しての議論は自由だ。しかし。

 困惑。それがランサの抱いた最初の感情であった。

 「…ガルドネット上にはネットワークを利用して、
立場の違う人々が提示されたテーマについて、
こういった遠慮のない意見を言える場所が存在すると言う事です。
捏造や工作も多いのですが、それらは限界や独特の文法がある為、
知識を得た上で注意深く観察していればかなりの数を判別できるようになります。
それでもやはり唸らされる意見や真実の一端もかなりの数が存在します。
それを実感として判っていただく為に
ご自身の話題の上ったところをニーズホッグ君も見ていただいたのでしょう。
…私も、相当遠慮のない事を言われていますよ。
しかし、痛くも無い腹を、と言えることばかりではありません。
むしろ、実になる意見も多いという事実もあります。
…ニーズホッグ君、今回のモルレドウ領の一件の話題を」

 「テュースw」

 ニーズホッグが、またしても石板を指で叩いて表示される情報を変える。

 「ここにある言葉は確かに良い発言といえるものばかりではありませんが…
持っている情報を持ち寄ってその議題に民衆一人一人が真剣に取り組み、思考を編む。
民主主義と呼ばれている思想の、見習うべき部分の一端があります」

 グレンが、ランサに言う。
事実を言われて動揺してしまった自分が有り、
その姿をグレンに晒してしまった以上
低俗なものと断じていたものでも、ランサは眼を傾けないわけには行かない。

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【この世の】モル領事情その306【地獄】

1:無銘@満腹ですよ。:903/9/14 05:44 ID
   領主がクラッシュ現象で領主たりえないという噂と、    自分のところの領民の拉致を騎士団が行っているのでは?
   などシャレにならない疑惑の多いモルレドウ領の話題です。
   あまりにも要項が多いので別途まとめ参照のこと。

   ……………

2:無銘@満腹ですよ。:903/9/14 06:24 ID
   とりあえずあそこを裏で仕切ってるノーバ・ネスは最悪の偽善者。
   名前聞くだけでムカムカする。
   早く死ね。

3:無銘@満腹ですよ。:903/9/14 06:35 ID
   >>2
   何を今更
   とりあえずモルレドウ領内の行方不明の元凶のカダンの殺人癖と
   のノーバ筆頭の騎士どものおもちゃにされてるのが九割という現状を何とかしてくれ
   うち、娘がいるんだぜ…怖くて外出せねえんだけど…

4:無銘@満腹ですよ。:903/9/14 07:10 ID
   >>3
   モルレドウ領の奴か。
   テンプレどおりで済まないけど
   家なしになってでも移住したほうがいいぞ。
   あそこの領民でいるより他の領土のやさなしの方が人間扱いして貰える。
   モルレドウ市から移住してきましたって言えば、
   ものの判ってるやつのところなら仕事は廻して貰える。
   俺、交易で行くんだけど(それでも極力行きたくない)
   あそこは政治関連の騎士以外の騎士とか、領民のことなんとも思ってない。
   カダン卿の屋敷に行ったら普通に自分とこの領民の三人称がクズどもとかブタとか家畜だぞ、
   冗談抜きで。行くだけで気分悪くなる。嘘だと思うなら流通関わってこっそり
   モルレドウ市のカダンの屋敷に物資を卸して見ろ。

10:無銘@満腹ですよ。:903/9/14 08:44 ID
   >>3
   気休めに聞こえたら済まないが、
   実はクンダリニ領が最近ずっとモルレドウ領と仲悪いから
   なんとかなるかもしれないぞ
   ノーバ野郎、クンダリニ領の領民にも手をつけちゃってるらしい。
   あそこはかなり喧嘩っぱやくて直ぐものの流通とか止めるくらいだし
   スケールから行って戦争になるっていう説もかなり現実的だと思う。

   戦争は被害を考えるときついけど、
   現状をだらだら同じにしておくよりもはるかにいいんじゃないかな…?
   ユンデルは脳筋だけど、分別はあるし。

18:無銘@満腹ですよ。:903/9/14 10:58 ID
   >>4
   誰に食わせて貰ってるかあいつらわかってないのかなぁ
   ナイトガルドは陛下と騎士以外はいらない子とか本気で思ってそうだ。
   何を貰う代わりに
   自分たちが騎士になって国防にあたってるかそのそもそもの所を理解してないわけ?
   きめえ

19:無銘@満腹ですよ。:903/9/14 10:59 ID
   >>18
   お前馬鹿だろ
   自分とこの領民さらって犯すような鬼畜がそんな概念持ってるわけないだろ
   思想とかそういうのは都合が悪くなるだけだから展開しない

76:無銘@満腹ですよ。:903/9/14 17:14 ID
   王都に賄賂をぶちこみまくってる割には
   領内の経済は一見まともに回ってるように見えるからな。
   傷の騎士団は王都からは評判はいい。
   こないだも陛下からノーブルマシン貰ってたぞ。なんか中古っぽいけど。
   そういやノーバ、こないだ拉致調査報告会はばっくれたな。
   王都管轄の事件にならねーかな
   ていうか自浄作用を排除したノーバ死ね。百回死ね
   金斧騎士が領内に一人だけでそいつが全部仕切ってるとか普通じゃないだろ
   王都も何で気付かない

85:無銘@満腹ですよ。:903/9/14 19:35 ID
   >>76
   何かその中古マシン、もと陛下ふぁんくらぶのバッテンのカリバーンという話がある。
   死んだと聞いてたんだが、モルレドウ領と繋がりでも有るのか?
   あと王都が〜って下りは、自分で言ってると思うけど賄賂はお前さんが想像する以上に効いてて
   王都からの調査は期待できない。聖騎士に握りつぶされてる割合が多いんじゃないかな。
   情報発信する機関は金の為に外国勢力の手先に成り下がったくらいだし、
   ノーバはそっちにも賄賂ばら撒いてると普通に思うわ。
   聖騎士はそいつらからの利権にべったりだしなあ
   ガルドネットを指向性を持って見ていかないと
   ゴシップ扱いで気付かないし目を向けないとは思う。

88:無銘@満腹ですよ。:903/9/14 19:47 ID
   >>85
   カリバーンの話はおおよその裏付け取れてて本当っぽいんだが
   バッテンの話は聞きかじった話そのまま垂れ流すな。調べろ。
   死んだって言うのは集団ヒステリーの時に出た噂だ、
   何人もブッタ斬って逐電したままだぞバッテンは。
   あ、でも情報機関が買収されてる?っていう推測は当たってる。
   変な金の流れがモルレドウ領から主に
   文化事業、出版、下請けを通じて大手にいってる。
   福祉施設経由の奴もそうだ
   ソース
   …………………

   まぁどう見ても情報封鎖のための賄賂だわな

90:無銘@満腹ですよ。:903/9/14 20:03 ID
   >>88
   普通に規模にドン引きした。
   あいつらの運営する銀行、現金スカスカなんじゃねーの…?
   バランス感覚って言った奴なんなの?

    99:無銘@満腹ですよ。:903/9/14 20:58 ID
   >>90
   ヒント:横流し 軍事技術
   ところでお前らユンデルが切れたぞ
   声明が出てる。
   …………………

   ガルドネット上ではもうモル領が末期なのは
   常識だから、遅すぎるくらいだな。
   とはいえユンデル良くやった

529:無銘@満腹ですよ。:903/9/18 21:01 ID
   シール領の参戦に続くニュース。モルレドウ領に
   お前らの好きなランサたんの査察が入るらしいよ〜

   ………………
   グレンさまもいるよw
   カダンとノーバ死亡のお知らせw

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 「…これは?」

 自分たちの目的地、
モルレドウ領で何が起こっているか、その推測がそこには書き連ねられている。

ランサは驚愕した。
自分が疑問に思っていた部分、モルレドウ領が不明瞭にしていた部分の推測がそこでは行われ
証拠も示されながら展開されるその検証や推測は、
とても一笑に付すことの出来る内容ではなかった為だ。

 「ええ、見ていただきたかったのはまさにこの声です。
こういった声がまず民衆の間で上がっている。
公の場では、様々な束縛から口に出来ない心の内を明かし、それについて話し合いが行われている。
勿論、発言や証拠は断片的なもので、時勢によって相対的に流れも変わり、偏っている場合も多い。
全てを鵜呑みに出来ない内容ですが…
しかし、一考に値するものも多いと思いませんか?」

 「は・・・しかし」

 それでも、ランサはこの発言群を完全に信用する事はできない。
心情から言えばまだ疑わしい、 いかがわしいものであるという気持ちが強く胸中で渦を巻いていた。

 「人間対人間の図式に関わる以上、その影の見えないものを我々は知らねばなりません。
一端踏み込めば、過ちだったで済ませられる事ではないと私は考えています。
こういう言葉も有ったということを覚えておけば、注意して観察するべき点も
出来てくるのではないでしょうか?」

 ランサは、グレンが言葉の裏に何かの意図を持って、それを伝えんとしている事を感じ取るが
それを漠然としか掴めず、さらにグレンに問いかけようとしたとき、
ニーズホッグが爪で石板の縁を叩いて、あのよう、と大声を上げた。
大声を出す事に慣れていないのか、ニーズホッグの声は裏返る。
咳を一つして、ニーズホッグは言葉を続けた。

 「その遠まわしな言い方辞めろよ、グレン」

 ニーズホッグが、石板の上に手を置いて立ち上がる。

 ガリガリと長い髪を掻き毟りながら立ち上がった彼の声の色は、苛立っているようだった。

 「要はあんた達の話し相手の連合にしろモルレドウ領にしろ、
どっちも自分の良い様に言うわけじゃない
あのさ、お願いしてもいいんだけど
それ聴きながす位のつもりで行ってよ。そんなの無駄だから」

 ギラリと僅かな光を受けて反射した彼の眼鏡のレンズの奥に
一瞬覗いた眼光は憂慮を孕んだ色をしていたようにランサの眼には見えた。
 柔らかな金糸のような髪を思わず手で払って、
その影をランサは眼で追うが
指で押し上げたニーズホッグの眼鏡のレンズの反射は
もうそれを彼女に教える事を拒んでいた。

 「どういうことでしょう、ニーズホッグ卿。
申し訳を聞かないことには我々も事情の解釈が難しいと思うのですが…」

 「申し訳は同時に言い訳だろ。
言葉ってのは参考材料の一つにしかならんのじゃないの?
そんなもんだけに耳を傾けて惑わされるよりは、
現在と過去の事実を見比べて判断することも忘れるなってことを言いたいのよ、
グレンもさ。
で、焦点の拉致に関してはさ、過去の事や現在の事を正しく知らなかったから過失です、
これからは良くします
なんて言って、それで終わりだったら
それこそ事態の解決にもならないとか考えるのはおかしいかな」

 ニーズホッグはそこで一端言葉を切る。
切って魔装の上の掌を上げ、軽くそれを払ってランサはその掌の動きを眼で追う。

 「いいも悪いもねーんだよな、起こったことだけは。
すべて起こったことしかこの世にはねーんだ。
で、それが社会に取って良いか悪いか決めるのは社会に属する人間なわけじゃん。
言葉に引き込まれて原因になった事実、現実を作った奴の処分が
甘くなったりする事があったりしたら腹立つから言ってる。」

 モルレドウ領が、拉致監禁を行っているのは証拠も挙がった疑いようのない事実だ。

ランサは、ニーズホッグの言葉に気圧されるように頷いていた。

 「俺が首突っ込んだのは、感情的には、王都から下賜されたっていう
俺の組んだエクスカリバーがモルレドウなんかにあるのは俺的に美しくねーから
タナボタを期待するつうやましい目的があるんだけどね。
今見た発言の中にモルレドウは偽装とか嘘が得意だ見たいな話あったじゃない?」  ランサは、ニーズホッグをきっと見据えて深々と頷く。
グレンは腕を組んで机に腰を預けて、ニーズホッグの論に耳を傾けていた。

 「俺、そういう嘘で自分の現世利益を守る奴って大嫌いだし。
あいつらが今回の件で嘘をつかないって保証は何もないわけじゃない。
エクスカリバーに殺人鬼が乗ろうが狂人が乗ろうがかまわねーよ。
自分普通ですなんて取り繕って人の事を欺く奴だけには乗って欲しくないね。
ありゃ俺のイカレた精神を表現できる機体だ。
イカレた精神の発揮する力は、ルサンチマンを撃つ完全な剣になる」

 魔装鎧を開発したのは自分のエゴであると断言しきったニーズホッグの怨念に、
今やランサは、はっきりと気圧されてしまっているとすら感じていた、

 「感情的な問題──だけですか?」

 「生き方が作ったものを、本意とは違う方向で使われたらどう思う?
ムカツクだろ。
あんたムカつかない?
陛下があんたは腕っ節が強いから自分を殴り殺せるか試してみよなんて
面白半分に言ったらアンタは陛下に対して腹を立てない?

無理解だってさ。

人が持ってるものには、必ずそれが生まれた理由があるんだ。
その思想を持たずに生まれてきた便利な道具だけがあるわけじゃねーだろ。
作り手のエゴがあると言うなら、
使い手の鈍感というのも責めるべきものじゃねーか?」

 飽くまで自分の行動原理は思想と感情であると言う
ニーズホッグの言葉は偏ってはいるが…
耳を傾けざるを得ない力強さを、ニーズホッグの高い声は持っていた。
それは彼が自分の生き方に関わる部分を一人の人間として真摯に語っているからだろうか。
 「けどそのためにこれが正しいんだって
自分の見方だけを吹き込むのはフェアじゃないわな。

使い手が居てはじめて魔装鎧ってのは完成するんだ。
作り手の意見だけじゃあない。
あの機体がどうなるかはなるようになるんだろう。

だから俺が俺の意見を表すのはここまでにしとくし。

──俺は個人的にモルレドウは
黒だとおもってっからそういう意見なんだけど。
まぁ、あんたはあんたの判断したらいいと思うよ」

 「ム・・・」

 考えを押し付ける積りは、ニーズホッグにはない、とランサは感じて、
また、ニーズホッグが真摯に語った言葉を一つ一つ反芻する。

 「──いや、ニーズホッグ卿、御礼申し上げますぞ」

 ランサから出た言葉に、今度はニーズホッグがム、と唸った。

 「確かに、相手の申し分を聞くにせよ、
騎士と拉致被害者の証言だけで判断をするわけにはいきません。
どんなつもりかと問うてもなんと言うこともできましょう。

お言葉に眼を開かされました。
そして、お話をして頂いた意見のような考えの一例もある──。

当事者だけが事件に関わっている訳ではなく
我々は社会に与える影響──与える結果と、印象とを考慮して
彼らの話し合いに加わらねばならないと言う事を改めて認識し。

行動の意図をはかる為に、
知れる限りの事実を徹底的に
追及、分析した結果を以って彼らの意図をはかる事を
騎士、ランサ・ロウの名に誓って誓います」

 す、とランサが右手の手袋を外して右手をニーズホッグに差し出す。

 「?」

 ニーズホッグは首を傾げて、
グレンはそのニーズホッグの不思議そうな表情を見て苦笑する。

 「ニーズホッグ君、
一体何年研究室に篭っていたら握手の慣習をど忘れするのですか」

 鼻を鳴らした後、俺はそういうのはいい、と言って踵を返して奥の机に引っ込もうとする
ニーズホッグの白衣の襟首をランサが素早く掴む。
白衣の下のシャツも一緒に掴んだものだから掴んだ拍子にシャツの襟がニーズホッグの首を絞めて
ニーズホッグはゲッという変な声を上げたが、
構わずにランサはニーズホッグの身体を引っ張って自分の正面に向き直らせる。

 「女性からの握手を拒むなど大変失礼ですぞ。ニーズホッグ卿。罰として
私のアロンダイトのアンコモン版の開発にも今度手を貸していただきたい」

 にこりと悪戯っぽくランサが笑う。

 「ヤダヨwwwあいつブッサイクなんだもんwww
そんな見栄張るから借金まみれなんじゃねwww」

 笑ったまま、ランサがスイと中指を親指で
押さえた格好の右手を突き出して中指を弾く勢いで思い切りニーズホッグの額を打つ。

 人体の運動による格闘の道に達した達人は、
密着するような間合いでも、僅かな動きのみで人間一人を昏倒させると言う。
いわばこれはこと武芸においてグレンを超える能力を持つランサの、
秘芸の一つとも言える技であった。
ニーズホッグは俄かに信じられない程の勢いで後ろに吹き飛ばされ、
書机の一つにぶつかって、いてえという大声を発し、物凄い音を立てて仰向けに転倒した。

 「なら、これがこれからはニーズホッグ卿への握手の代わりと言う事でよろしいか?」

 あっけに取られるグレンの前で、ランサが腰に手を当てて、
やれやれと言った様子で頭を横に振り、長い金髪を、星を振りまくが如く揺らす。

 「──よくねーwww死ね馬鹿女www」

 ガラガラと音を鳴らして額を摩りながら身体を起こすと、ニーズホッグは右手を差し出す。

 歩み寄ったランサは、グレンに目配せしてから、
ニーズホッグに笑いかけて、その右手を握って、ニーズホッグが立ち上がるのを助けた。